明日会議でプレゼンするけどうまくいくだろうか? とか、合格発表の前の日に心配で夜も眠れないとか……。人生にはさまざまな不安や心配ごとがありますよね。
不安は誰もが持つ正常な防御本能といわれていますが、不安な気持ちは少しでも軽くしたいもの。そこで今回は「不安や心配を軽くする考え方」について少しおはなししてみようと思います。
不安な気持ちにつきまとう過去の失敗や後悔の記憶
不安になるのは、過去に経験した嫌な記憶が呼び起こされるからです。誰でも過去に失敗して嫌な思いをした経験が記憶の底に眠っています。
前後のつながりすべてを憶えているわけではなく「失敗した」とか「騙された」とか「負けた」など、断片的な嫌な記憶だけが数多く心の底に蓄積されているのです。
その記憶が無意識のうちに未来に起こる事実と結びつけられて「また失敗するのではないか」という不安な気持ちが首をもたげてくる。
不安な気持ちになるのは、人の意識の底にあるネガティブな体験の記憶が原因なんです。眠っている幼少期の体験なども無意識に呼び起こされます。
ネガティブな記憶は実体験だけではない
呼び起こされる記憶は実体験だけではありません。私たちの周りに飛び交っているテレビや、インターネット、SNSから流れるネガティブな情報も嫌な記憶として潜在意識に刷り込まれます。
無意識の領域では自他を区別する作用が曖昧なので、報道される悲惨な事故や事件を「もし、被害者が自分や自分の家族だったら」と自分に置き換えてしまうのです。
不安な気持ちを分析してみる
無意識に作り出される「不安」を解消するのは困難ですが、不安な気持ちを軽減することは可能です。まずは不安を分析してみましょう。
不安は96%実現しない
アメリカのミシガン大学で実施した調査結果は有名ですね。不安の96%は現実にならないというもの。
日本とアメリカでは文化も人間性も違うので、一概に真に受けるのはどうかと思いますが、ほとんど実現しないのなら気持ちも楽になりますね。
でも、どうして9割以上は実現しないのでしょう。
不安の正体は一つの事実から生まれたネガティブな感情と巨大な妄想
不安な気持ちの正体は大きく膨らんだ妄想だからほとんど実現しないのです。
私たちには少なからず妄想癖があります。未来に起こる事実にネガティブな過去の体験が結び付けられると、そこからいろんなネガティブな物語を妄想してしまうんです。
「失敗したらこうなるのでは」とか「断られたらこうなる」とか……。それがいくつも重なって大きな塊になっていきます。妄想の物語だから現実にはなりません。
人間って一つの事実に対して一つの結論で良いのに、その約20倍の妄想をするらしいですよ。
例えば「明日の会議でプレゼンする」という事実に対して、失敗したらどうしようと考え始めると、上司に怒られるとか自分の評価が下がるとかいろいろ妄想するわけです。
でも、それって、起こってもいないことを勝手に予想して怖がっているだけですよね。
不安な気持ちにさせる巨大な妄想をさらに掘り下げてみる
不安のほとんどはネガティブな妄想から発生した物語だということがわかりました。そこで、巨大な妄想の物語をもっと深掘りしてみましょう。
先ほどの例をもう一度取り上げます。未来に起こる事実は「明日の会議でプレゼンする」でした。対して「失敗したら上司に怒られる(かもしれない)」などは妄想の部分です。
この妄想を仮定と本質に分けます。
仮定のところは事実から導かれる結果予想です。ここに「成功」を入れることができればその時点で不安とはおさらばできますが、中々そういきませんよね。
そこで不安の仮定部分に「失敗」を代入します。本質には「怒られる」とか「評価が下がる」が入りますね。なぜ不安なのかというと、怒られたり評価が下がることが怖いからなんですよ。
次に、本質の後に「だから」と続けて「そうなったらどう感じるか」を付け加えます。
プレゼンに失敗したら上司から怒られるかもしれない「だからどうなの?」と自分に聞いてみると「だから嫌だ」とか「だから怖い」などが思い浮かびます。ここまでで不安な持ちの分析は終わりです。
ネガティブな感情を変換する簡単な方法
ネガティブな感情をポジティブに変換できれば不安な気持ちが軽減できます。そこで、先ほどの分析結果の「だから」を「だけど」に代えてみます。「だけど〇〇だ」です。
「だけど」の後に入る言葉を考えてみましょう。「だけど、まだまだこれからだ」とか「だけど、そんなの大したことない」や「だけど、何とかなるんだ」などが浮びますね。
先ほどの例を引用すると「失敗したら、怒られるかもしれない。だけど、そんなの大したことじゃない」となります。
失敗してもリカバリーすればいいんです。ある意味「失敗」は次の仕事や試験を成功に導く最も有効な参考書といえます。だから「大したことない」のです。
例えば、明日初対面の人に合うけれど、相手が自分のことをどう思うのか不安だという場合。
「もしも、初対面の人の前でうまく話ができなかったら嫌われるかもしれない。だけど大したことはない大丈夫だ」と考えます。相手も初対面なので同じ不安を抱えているかもしれません。
不安(-)と不安(-)が出会うのですから、会ってしまえば安心(+)になるという考え方に変換するのです。
ポジティブな感情に変換して不安な気持ちを軽減しよう
不安や心配は、正常な心の防衛本能ですが、中には不安症や精神障害にまで発展する場合もあるので、できるだけ軽減したいものです。
今回は不安を軽減するために、感情をポジティブにコントロールする一つの方法をお話ししました。まだまだ長い人生、不安な気持ちを変換して自分の心を癒してあげてください。
そうそう、ある人は「感情」のところに「だけど、終わったら美味しいものが食べられる」って入れて自分にご褒美をあげたそうです。それも、一つのアイデアですね。